亡くなった人が生前に所有していた財産を遺産といいますが、こうした遺産には現金だけではなく、銀行預金や株券、自動車や不動産などのさまざまなものが含まれています。現金や銀行預金であれば相続人同士で分け合うのは容易ですが、不動産の場合にはそれも物理的に困難な場合が多いといえます。もちろん分筆などの手段はありますが、せっかくの大きな面積をもつ使いやすい土地を分筆によって細切れにしてしまっては、使い勝手を損なってしまうことになりますし、土地の評価も下がってしまうのがふつうです。そこで相続人全員が集まって遺産分割協議とよばれる会議を開き、この会議のなかで全員が同意の上で、誰かひとりに不動産を相続してもらうことにします。

その代わりに不動産を相続しなかった人たちには現金を多めに相続させるなどのテクニックを使えば、公平でしかも効果的な相続が可能となります。こうして実際に不動産を相続した人は、亡くなった人の名義を変更するために相続登記をすることが必要です。以前は相続登記といっても任意でしたが、法律の改正で今後は相続登記が義務化されましたので、いずれにしても早い段階で準備をしておくのに越したことはありません。相続登記の必要書類はかなりのボリュームがあります。

具体的に必要書類を挙げてみると、遺産分割協議書や相続人全員の印鑑登録証明書・戸籍謄本、不動産を実際に相続する人の住民票、亡くなった人の除籍謄本や戸籍の附票、不動産の固定資産評価証明書などがあります。場合によっては必要書類はさらに増えるおそれがありますので、事前に専門家に相談してみることもたいせつです。