両親や祖父母から受け継いだ土地や建物を、使う予定がないからとそのまま放置している人もいるかもしれません。これまでは所有者が変わっても登記簿の変更手続きをする義務はなく、相続人によってはそのまま放置することが多々ありました。時間ができたら手続きをしよう、故人の見送りが終わってからにしようと先延ばしにしているうちに申請を忘れてしまう例も多々あります。土地や建物などの不動産は、代が進むごとに相続人の人数が増え、権利関係が複雑になっていくのが一般的です。

自分が受け継いだ時には自分1人だけだった相続人が、子供や孫へと受け継がれるたびに権利を持つ人の人数が増えていきます。結果的に誰が相続人なのか判らなくなり、所有者不明の土地や建物が増えているのが現状でしょう。所有者が判らないまま放置された不動産は、近隣の住民はもちろんのこと行政も手をつけることができません。少子高齢化が進む日本においても空き家対策は重要な課題として位置付けられており、その一環として相続登記の義務化が行われることになりました。

相続登記の義務化によってこれまでのように所有者を変更せずに放置することはできなくなり、相続人には速やかな手続きが求められます。相続登記の義務化はこれまでとは異なり過料なども設定されているため、遺産として土地や建物を受け継いだ場合には期限内の手続きが必須になるでしょう。早い段階で手続きを終えれば、権利関係が複雑になることもないはずです。